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2005年11月30日

遠くの方から私を呼ぶ声がしたので、そっちの方へ行ってみる。
しかしながら一向に近づく気配がない。
声は絶え間なく続いている。
3キロ歩いてやっとちょっと近づいた。
結局10キロ近く行ったところで声の正体と出会うことができた。
正体は「気をつけて帰ってね」というと姿を消した。
仕方が無いのでまた10キロ歩いて帰った。

10:57

2005年11月29日

妖精

今日は大切な日なので、去年から大切にとってあった瓶詰め妖精を開放する。
妖精が部屋中を飛び回り、大変素敵である。
不思議なことに妖精が触れたとたんガラスのヒビが消えてしまった。
これでもう赤いカラスを追いかけなくて済む。妖精に感謝である。
何人かは相談の上そっと捕まえ、来年用にまた瓶に保存する。
残りは放してやった。窓を開けたら一直線に月へ向かって飛んでいった。

10:32

2005年11月28日

相談

深海魚の友達に恋愛相談を持ちかけられる。
困ったことに熱帯魚に惚れたらしい。
物理的な距離に差があるってのは正直難しいんじゃないかと意見したら、返事が返って来なくなった。
怒っているのかもしれない。
しかし彼女のためにも手近なコウモリダコくらいで抑えておいた方が幸せなんじゃないかと勝手に思っている。

11:40

2005年11月27日

ベランダに赤いカラスが舞い降りたかと思ったら、窓をつつきながら
「やめた方がいいよ」「やめた方がいいよ」としきりに繰り返す。
仕方がないのでやめておいたら何も言わずに飛び去って行った。
つつかれたおかげでガラスにヒビが入ってしまった。
代金を請求しようと思っているのだがあれ以来一向に見かけない。

22:40

2005年11月26日

来訪

近所に住んでいる深海魚の友達の家へ遊びに行く。
息継ぎの為、数分としないうちにいったん家から出なければならず会話が続かない。
光も届かないので友達がどういう姿なのかも全く知らない。
いい人なことは確かだがいささかつき合いづらい。
しかしもう3年も続いているので縁というのは不思議なものだ。

08:57

2005年11月25日

豆腐

最近ストレスがたまり気味なので、豆腐の角に頭をぶつけて発散する。
ぶつかる瞬間に「木綿」とか「絹ごし」とか叫びながらやるとなお良い。
最近の豆腐はやわらかくなってしまったのでどうも張り合いが無くて困っている。
昔は怪我人が続出して問題になったものだ。
近所の豆腐屋にあの頃の豆腐を作ってくれと頼み込んだがあっさり断られた。

07:53

2005年11月24日

分裂

身体が縦に裂けて、2つになってしまった。
どうやら私は左側の担当になったらしい。
右側の担当は誰なのだろうか。右側もまた私なのだろうか。
さっきからずっとコタツの周りを反時計回りでぐるぐる回っている。何かの儀式だろうか。
仕方がないので放っておくことにした。
右側はその後3時間回り続けていたが、特に何も起こらなかった。

11:11

2005年11月23日

染み

心に染みができた。
何が原因かは覚えていない。
「原因がわからないんじゃ取れませんよ」と染み抜き屋に見放される。
仕方ないのでこのまま生きていくことにする。

10:56

2005年11月22日

迷子

ここが何処だかわからない。
どこを見ても記憶にある物が一つもない。
しばらく迷っていたらつま先から徐々に透明になり、体が消えていく。
最後に見たものは凸型の白いブロックだった。

18:05

2005年11月21日

南極

ペンギンの交流会というのが地域の広報に載っていたので参加してみる。
とにかく会場が寒い。
しかも話題があそこのスーパーのあの魚はうまいとか、あの魚は喉越しがどうだとか、とかく魚に尽きる。
魚が嫌いなので全くついて行けない。
ペンギンの友達ができるかと期待したのだが、もう少し魚を勉強しなければならないようだ。

11:16

2005年11月20日

牢獄

部屋から出られない。
出ようとしてドアを開けたらそこにあるはずの景色が無く、終わりの見えない真っ暗闇が広がっている。
窓を開けてみても、押し入れを開けてみても同じだった。
踏み出す勇気が無いのでいまだ出られずにいる。
蛍光灯の光だけが妙に生々しい。

10:55

2005年11月19日

歪み

あらゆる物が歪んで見える。
おかげでいろんな所にぶつかるし、本は読めないし、この文章ももちろん歪んでいるのでとても書きづらい。
どうしてこんなことになったのだろうと原因を追及していたら、歪んでいるのは自分自身であるということが判明した。
鏡をみたらなんだか良くわからない奇妙な形の物体が映り込んでいた。
自分は本当はこういう姿をしていたのかとその時は納得したのだが、1時間後にまた鏡を見ると全く違う姿になっていた。
世界は相変わらず歪んだまま、私だけ実態が無い。

08:19

2005年11月18日

6F

エレベーターに乗ったら存在するはずのない6階行きのボタンが出現していたので、ためしに押してみる。
ドアが開いたとたんピンク色の光が差し込んできて、クラゲのような生き物が大量にうごめいていた。
どうやらそこかしこに集まって談笑しているらしい。
そのうちの一匹から「ご新規ですか」と聞かれたので、わけもわからず「ハイ」と答えてしまった。
契約書の様なものにサインをし、妙な色の液体を飲まされた。
これでいつでもこの空間にこられるのかとワクワクしていたが、それ以来6階行きのボタンは現れない。

10:00

2005年11月17日

睡魔

睡魔に襲われる。
最近の睡魔は宅配便を装って来たりするのでついついドアを開けてしまう。
やっかいである。
なんとか攻撃をかわしつつ部屋に誘導し、ベッドにのさばっていた金魚を眠らせることに成功した。
睡魔にも手伝ってもらい、近くの川に放流してやった。
けっこうイイヤツだった。

10:20

2005年11月16日

寝床

昨日の夜から巨大な金魚がベッドを占領していて寝る場所が無い。
しかも数分置きに水を持ってこいと要求される。
飲むとしばらくは大人しいが、またすぐに暴れ出してしまう。
魚なら魚らしく水中で寝たらいいのにと言ったら、それができないからここにいるのがわからないのかと余計に機嫌を損ねられてしまった。
言わなければよかった。

09:33

2005年11月15日

赤色

心臓にスライム状の生き物が住み着いた。
不定期にぶるぶる震えるので困る。
赤い色が好きらしく赤い物を見るとよりよく震える。
私も赤が好きなので余計に困る。
昨日は赤い服を着ていたので身体のバランスを取るのにも苦労した。
今後の対応策を考えなければならない。

10:35

2005年11月14日

接続

楽器の配線をしていたらケーブルが勝手に動き始め、がんじがらめにされる。
何がそんなに嫌なのかと聞いたら、どうもオレンジ色のと青色のを一緒に束ねているのが気にくわないらしい。
仕方が無いので唯一自由になっていた左手でなんとか配色を変えてやり、やっと解放された。
何か始める時はいつも大変だなと思う。

11:01

2005年11月13日

日曜日

昨日の生き物を調理して食べる。
ぴちぴちと跳ね回るので調理するのに難儀した。
一匹は屋根の上に、一匹は縁の下に投げるのがいいと昔から聞いていたので一応やっておく。
食べ終わる頃にはすっかり気分が良くなった。
歌いながら片足立ちで茶碗を洗った。

13:58

2005年11月12日

崩壊

昨日の紫色もずいぶん抜けてきてスミレ色くらいになった。
昼を過ぎたあたりから心が分裂する。
分裂したすきまから紫色の生き物が這い出してきて困る。
おかげで一日生き物の処理に時間を使う羽目になった。

22:36

2005年11月11日

キノコ狩り

朝起きると壁一面に紫色のキノコが生えていた。
さっそくもぎ取ってみそ汁や炒め物などにして食す。
入れる料理がすべて紫色に染まって綺麗だった。
外に出てみたらすれ違う人の顔が赤や黄色や青に染まっていた。
青色の人から「やあ、今年は紫ですか」と声をかけられたので、「お宅は青色ですね」と答える。
「今年ももうこんな季節になりましたね」と言って別れた。

09:37

2005年11月10日

発芽

あたまのてっぺんから芽が出た。
天気がいいのでそのまましばらく散歩をした。
新しい芽を摘もうとするカラスが次々に襲ってくるので追い払うのに苦労した。
3時間の散歩で5cmも生長したが、部屋に入ったとたん枯れてしまった。

12:51